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by analogmachine
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月に吠える
仕込んだ。
ただ舞台を仕込んだ。
ひたすら。
そういう一日だった。

稽古場で想像していたよりも空間が抜けているような気がした。
アパートの中庭というジメッとしたイメージかと思っていたが上を見上げれば空がある。
舞台が外だというイメージはあったが、空の存在を少し忘れていたかもしれない。
登場人物の切羽詰った人間関係で床(土)ばかり見ていた気がしたが
空があれば何か逃げ道があるように思えた。

東京には空が無いが、日光にならきっとあるだろう。
中庭は庭であるが、外である。
人は主に部屋にいて、外は歩く。
中庭での物語なら、そこに留まる理由が必要だ。
台詞を言う為に出てきたのでは理由にならない。
ただ、外には空がある。
それも充分な理由かもしれないと思えた。

実際見上げたら関さんとアベさんの仕込んだ照明があるわけなのだが
舞台上から見上げた灯体の明かりはまんまるに光っている。
おとといの晴れ間に見た三日月は時に人を狂わすが、
関さんの造る満月はいつ見ても心地よい。
この月の明かりが無くては役者のからだは客席に届かない。
役者の声はマッハの速度で光からわずかに遅れて客席に届く。
そのわずかなゆがみが人間の思考回路の電気信号を揺らす。
揺れた波は言葉のやりとりで増幅し、光の速さを超えて時間を曖昧にする。

そして物語はさかのぼる。

そういう舞台だ。
違うかもしれない。

月に吠える_b0103990_639554.jpg

by analogmachine | 2008-06-26 06:40 | 日誌
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